転職活動の成功させる要因には、時期的なタイミングもありますが、なにより「人」の資質が最も重視されます。採用検討企業様の求める人物像を「スキル・知識」「キャリアフロー」「資格」3つの視点で紹介します。

スキル・知識

コミュニケーション力

分からないことがあれば積極的に質問をする「聞く力」、たとえば客先に未収金の督促をする「話す力」、上司であれば進言・後輩へはアドバイスを送るなど、管理部門であってもコミュニケーション力は非常に問われるものになります。

正確な事務処理能力

得意先への支払処理や従業員に対する給与計算など、ゼロが一つでも間違っていたら大変なことになります。経理や人事といった管理部門に従事する人にとって、「スピーディーでいて正確な事務処理力」は重要視される能力と言えます。

協調性

管理部門は「縁の下の力持ち」、「企業の潤滑油」といったように言われます。たしかにお金を生む部門ではありませんが、ただ管理部門がしっかりしていなければ、ちょうど羅針盤を失くした船のように会社経営はたちどころにうまく行かなくなるでしょう。内助の功として後方支援がしっかりできる人材、自社の社員を「お客さん」と思って円滑に振る舞える人材が求められているように思います。

キャリアフロー

20代

マネジメントポストはまずあり得ません。
即戦力あるいは将来の担い手として、実務経験がどれだけあるか、どこまで深く取り組んできたかといったところがポイントとなります。

30代

通常業務に加え、後輩やパート社員、派遣スタッフへの業務指示や、業務の取りまとめなどといったマネジメント業務が徐々に求められる傾向が強くなってきます。

40代

経営者層とのやり取りも活発になり、ミドルマネジメント業務(経営者の意見を理解しそれを噛み砕いて部下に伝え調整する業務)を求められます。
また、経理職であれば会社によっては予実管理や資金繰り(金融機関との折衝)などといった管理会計の経験も要求される場合があります。

資格

経理の資格

一般企業でも、会計事務所でも、資格を所持していることは転職活動において、とても有利に働きます。
何も資格をお持ちでない方は、まず日商簿記3級の取得に向けて勉強されることをお奨めします。
その後は、日商簿記2級にチャレンジしてみてください。多くの企業から聞くのは「日商簿記2級程度の資格・知識をお持ちの方」という言葉です。ぜひぜひ2級まで合格できるよう頑張ってください。
さらにより深く知りたいと思われた場合、簿記・会計系であれば簿記論や日商簿記1級など、また消費税法や法人税法といった税法の勉強なども、実務において非常に役立ちます。

人事・総務の資格

経理職ほど資格を求められることはありません。
しかしながら、社会保険労務士は勉強するだけでも、労務にまつわる様々なことを学ぶことができます。難関資格ではありますが、労働法に強い興味・関心があれば、勉強することをお奨めします。
また、「いきなり難しい社労士を勉強するのは…」とお考えの方は、FP(ファイナンシャルプランナー)の勉強からスタートされるのも入口としては良いかもしれません。

おすすめ資格一覧

キャリアアップを目指すなら資格取得は必要です。参考に持っていると有利な総務・経理系の資格を一覧にしました。ぜひ、転職活動とともに興味のある資格取得にトライしてください。

資格名難易度コメント
日商簿記3級経理職を目指す人の登竜門。経理を目指される方のエントリー資格と言えます。
日商簿記2級 ★★ 工業簿記が加わり、日商簿記3級よりもぐっと難しくなりますが、企業から求められる資格水準です。ぜひ取得に向けてがんばってください。
日商簿記1級 ★★★★ 2級からは飛躍的に難易度が上がり、税理士科目の「簿記論」と同じくらい難しいとまで言われます。
簿記論 ★★★★ 簿記論は税理士試験において必須科目です。複式簿記の基礎から応用まで学ぶ学問で、試験としては100%が計算問題。スピードが求められます。
財務諸表論 ★★★★ 簿記論と同じく税理士試験において必須科目です。貸借対照表や損益計算書の作成方法や作成理由などを学ぶ学問で、試験では理論と計算問題の両方が出題されます。
法人税法 ★★★★★ 勉強範囲が広範囲に及び所得税法と並んで税理士試験の最難関科目です。税理士業務をするうえで必要不可欠な知識であるため選択必須科目に指定されています。
所得税法 ★★★★★ 法人税法と同様、勉強範囲が広く、最難関科目の一つです。受験者数は毎年圧倒的に法人税法のほうが多いのですが、最近では資産税に特化した税理士事務所も多く、勉強される方も徐々に増えてきています。
消費税法 ★★★★ 実際の税理士業務で非常に役立つ学問で、他の税法と較べると出題範囲は狭く勉強のボリュームは少ないと言われがちですが、受験者数が多いのでやはり難関科目であると言えます。
相続税法 ★★★★ 相続税法は計算の仕組みが他の税法よりかなり複雑で独学で科目合格を狙うことはかなり難しいと言われています。ケースによっては申告納税額もとても高いのが特徴の一つです。
社会保険労務士 ★★★★ 労働や社会保険に関する法律家、人事・労務管理の専門家として従業員の採用から退職、人事制度、また年金等に関する相談にも乗ります。毎年8月に試験があり合格率は10%未満。難しい資格です。
会計士 ★★★★★ 数ある国家資格の中でも、取得に労力の必要な難関資格です。試験科目・学習量の多さから「短期間の学習で合格できる」性質の試験ではありませんが、企業のグローバル化やM&Aの活発化などにより、監査業務に従事するといった従来の働き方の他にも、企業内会計士としてM&Aや上場準備に携わるなど、資本主義の経済活動になくてはならない存在となっています。
司法書士 ★★★★★ 「司法書士試験」の難易度は「司法試験」に次いで高いとされ、まさに難関と言える試験ですが、年齢、性別、学歴、国籍などに関わらず誰でも受験することが可能です。 メイン業務である登記申請業務は、土地・企業のある場所には必ず発生しますので、全国で継続的に一定のニーズがあり、地域を選ばず活躍することができることからIターン・Uターンをお考えの方にも最適です。
USCPA(米国公認会計士) ★★★★★ 国際ビジネス資格の最高峰に位置づけられる会計の専門家であり、その認知度は世界的に非常に高く、米国公認会計士試験に合格していることは、プロとして英語で会計実務ができるレベルであることの客観的な証明となります。 当然、英語力も必要となりますが、外資系企業やグローバルに活動を展開する企業における海外進出やM&Aなど米国の会計基準を使用するケースにおいて広く活用が期待されています。
MBA ★★★★★ 経営学修士あるいは経営管理修士と呼ばれ、会計士、弁護士のような業務資格ではなく経営学に関する「学位」です。 専門職大学院(ビジネススクール)に通い、所定の単位を取得することでMBAの学位が授与されます。 ビジネススクールでは経済学的研究よりも企業活動で活躍する実務家の育成を重視した教育が行われているため、経営者や管理職など組織のトップに立つ方に必要な実践的な知識を学ぶことができるという点で注目されています。