経理のキャリアプラン～あなたはどんな道を目指す？～
経理のお仕事に興味があるけど、未経験からスタートできるの？今経理職に就いているけど、今後はどんなキャリアプランがあるの？
これから経理として働きたい方、この先のキャリアプランを考えている方に、今回は経理のキャリアについてお伝えします。
経理のお仕事とは
経理という職種はもちろん知っているけど、実際にどんなことをしているかはよくわからない、という方もいるでしょう。経理とは「経営管理」の略称であり、その名の通り企業の取引やお金の動きを正確に記録し、管理するお仕事です。
具体的には、伝票/請求書作成、売上や経費の処理、支払/入金管理、会計入力、税金の申告、決算書作成など、業務は多岐にわたります。
大きく分けると日々発生する【日次業務】、
その月の収支をまとめて企業の財務状況をチェックする【月次業務】、
一年間の活動を総括し利益や課税額を確定する【年次業務】に分類されます。
企業全体の財政状況を把握し、経営陣へ情報を提供することも、経理の重要な業務です。企業の安定した経営のために、必要不可欠な職種と言えるでしょう。
未経験から経理のお仕事に就くには
経理のお仕事に興味があるけれど、専門性が高いイメージがあって未経験からの転職は難しそう……と感じている方も多いかもしれませんが、実は経理求人の中には、日次的な業務をメインとするポジションなどで「未経験可」という案件もあります。
ただし、経理未経験でもまったくの事務未経験者が採用されるケースは少なく、Excel・Wordなど基本的なPCスキルも必要となる場合がほとんどです。
また未経験からチャレンジする場合は経理系の資格を取得することで、意欲や知識があるというアピールをすることもできますよ。
さらにこの先は、経理分野においても更なるIT化が見込まれます。会計ソフトや専門ソフトの導入などで、これまでアナログで行ってきた手作業もITの力による効率化が進んでいくでしょう。未経験の方はITに強いということも、アピールの材料になり得ますよ。
経理のキャリアプラン
・キャリアスタート
経理のキャリアは実際どのように形成していくのでしょうか。
まずは経理担当者として、伝票作成や仕訳入力、支払いなど、日々発生する【日次業務】からスタートするのが一般的です。実務経験を積みながら知識やスキルを習得し、業務の幅を広げていきます。
会社の規模などにもよりますが、およそ1～3年程度で【月次業務】、3～5年程度で【年次業務】のスキルが求められます。
・上位職へ
年次業務までこなせるようになったら、次はどんな可能性があるのでしょうか。
まず考えられるのが、同じ企業で管理職や役職などの上位職を目指すキャリアパスです。
月次業務や年次業務などのスキルを身に着け、着実に成果を上げることは、経理部署での昇進の大きな要素です。マネジメントをする立場となれば、部下や組織の管理・育成の経験を積むことができます。
また、経理は企業の経営状況を知ることができる職種です。知識と経験を活かし、経営状態を分析し、戦略を練る力を養えば、経営層を直接サポートする「経営企画」や、会社のお金を運用する「財務」などの重要な役割を担うことができるでしょう。将来的には企業の経営そのものに関わるCFO（最高財務責任者）のポジションも目指せるキャリアプランです。
・大手への転職
経理キャリアを積んだら、より大きな企業への転職を目指すことも可能です。
未経験で大手へ就職するのはなかなか難しいですが、中小企業で経験・スキルを磨き、資格を取得することで大手への転職ができるチャンスが広がります。
経理は企業によって処理の方法が異なるケースも多く、転職することでより多様な経理の経験を積むこともできます。
・ベンチャー、スタートアップ企業への転職
経理としてより幅広いフィールドで活躍したいという方におすすめのキャリアプランです。
ベンチャーやスタートアップ企業は事業成長のスピードが速いため、管理部門の体制整備が後回しになりがちです。そのため、経理にとどまらず、人事・総務・法務など管理部門全般に携わる機会が多く、業務の幅を広げることができます。
また企業の制度作りや組織作りに関わる場面も多く、「会社を自分で創り上げている」という実感ややりがい を得られるのが特徴です。一方で、変化の多い環境ゆえに主体性や柔軟性も求められますが、これを成長機会と捉えられる方には大きなチャンスとなるでしょう。
・IPO準備企業への転職
経理の専門性を磨きたい方におすすめのキャリアプランです。
IPO準備企業では、財務諸表の作成／開示業務、監査法人・証券会社との対応、内部統制（J-SOX）の整備、上場審査への対応など、上場に向けた高度な経理実務に携わることができます。これらの経験は経理のプロとして大きな強みとなり、将来的な転職市場においても高く評価されます。
またIPO経験者は、上場を目指す企業から求められる貴重な人材です。専門性を高めたい方にとって、キャリアの選択肢を広げる有力な道となるでしょう。
・外資系への転職
海外でグローバルに活躍したいという方には、外資系企業へ転職し、国際的なキャリアを目指すプランはいかがでしょう。
外資系企業では、日本企業より実力重視で評価をされる傾向にあるので、スキルを磨き、成果を出して評価が上がれば、昇進・報酬に直結しやすいです。
また、外資系企業への転職には、経理の経験を積むことはもちろん、英語力を鍛えることも大切です。
外資系の企業には、経理部門以外にもFP＆A（財務計画＆分析）があり、このポジションで実務経験を積むと、CFO（最高財務責任者）への道を切り開くステップにもつながります。
・スペシャリストを目指す
１つのことを突き詰めたいというタイプの方は、一通りの経理業務ができるようになったら、特定分野の専門家を目指すのはいかがでしょう。
例えば、国際税務や連結決算などの難解な分野の専門知識と実務経験を備えることで、その分野のスペシャリストとして重宝されます。
専門的な分野は需要も高いため、自分の専門ジャンルがあれば、転職の際にはその職種を求めている求人に有利に働きます。またスペシャリストとして将来的に独立することも可能ですよ。
・独立
将来的に企業に属さず一国一城の主になりたいなら、独立プランもおススメです。
経理の実務経験を積み、会計や税についての知識を深めて、国家資格である税理士や公認会計士の資格の取得を目指します。試験に合格し、実務経験を経て登録をすると、独立して事務所やコンサルタント開業の道を選択することができます。
独立・開業することで、より多くのクライアントの経営に関わることになるため、企業経理とは異なった多彩な経験を積むことができます。
ただし独立・開業には、経験や資格の取得に加え、人脈や営業力も必要となります。
キャリアプランを実現するために必要なこと
経理に関わる中で、自分は何を目指すのか……経理としてのキャリアプランを立てる時は、まずは最終的なゴールに向けた方向性を明確にすることが重要です。
ゴールと方向性を決めたら、具体的な目標設定とスケジュールを定めます。例えば1年以内に資格を取得する、3年以内に年次業務ができるようになる、など具体的な目標を設定してみましょう。
現職でのキャリアアップが難しい場合や、求めるスキルや経験が得られない場合は、転職を視野に入れることも1つの選択肢となります。
経理関連の資格
最後に、経理系の資格の中から、スキルアップや転職・独立のために取得しておくと有効な資格をご紹介します。
【日商簿記検定】
これから経理を目指す方、経理の仕事を始めたばかりの方にまずおすすめしたいのが日商簿記3級です。商業簿記の基本的な流れや仕訳を学べ、日々の業務に直結する基礎知識を身に付けることができます。
日商簿記2級は3級よりも難易度が高く、財務諸表の作成に必要な知識や、より実務寄りの論点を学びます。実務未経験でも日商簿記2級を持っていることで、「経理知識がしっかりある」という評価につながり、転職活動でも有利に働きやすい資格です。
日商簿記１級は商業簿記・工業簿記に加え、会計学、原価計算、会計関連法規など幅広い高度な知識が求められる検定です。取得すると、企業の財務・会計における深い専門知識を証明でき、連結決算や開示業務など、経理の中核業務に強い人材として評価されます。
実務における意思決定の場面で活かせる知識が多いため、「経理としての専門性を高めたい」方にとって強力なステップアップとなる資格と言えるでしょう。
【税理士】
税理士は、税務に関する高度な専門知識を持ち、企業や個人の税務申告・税務相談を担う税務のプロフェッショナルです。
税理士試験は、会計学に属する「簿記論」「財務諸表論」の2科目と、税法に属する科目（所得税法・法人税法をはじめとする各種税法）から3科目の、合計5科目に合格することで試験合格となります。
科目ごとに合格が積み上がる「科目合格制」のため、働きながら1年に1科目ずつ取得していくなど、長期的な計画で挑戦できる点が大きなメリットです。
【公認会計士】
公認会計士は、財務諸表の監査を行える唯一の国家資格であり、「会計資格の最高峰」と言われる難関資格です。
試験は短答式試験4科目、論文式試験6科目から構成され、簿記・財務会計・管理会計・監査論・企業法など、会計のあらゆる領域について極めて高度な知識が求められます。
合格後は、経理・財務・内部監査、CFO候補、コンサルティング、監査法人での監査業務など、専門性を活かせるキャリアの幅が非常に広いのが大きな魅力です。
実務経験を積んで登録をすれば、公認会計士として独立・開業も可能で、企業の成長に深く関わる仕事ができます。
その他、【FP（ファイナンシャルプランナー）】、【ビジネス会計検定】、【給与計算実務能力検定】、外資や上場企業では【TOEIC】なども、経理職に有効な資格です。
もちろん資格がすべてではないので、自分のキャリアプランに合わせた資格チャレンジが大切です。
また、資格取得の過程で得られる知識やスキルは、実務においても大いに役立つでしょう。資格取得が評価され、年収がアップする可能性も見込めますよ。
経理サポートスタッフでは、ご経験やご希望にあわせたキャリアプランのご提案をしています。
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